商用核融合発電がいよいよ始動する──特集「THE WIRED WORLD IN 2026」
太陽のような自然界の無限のエネルギーは、長らく手の届きそうなところにありながらじれったいほど手に入れられなかった。2026年はついに、実現への歩みを進める年となるだろう。
近年、気象学の分野では爆弾低気圧、大気の川、湿球温度、超暴風雨、大規模森林火災、超大規模森林火災といった新しい用語が生まれており、2026年もまた、暑さ、CO2レべル、氷河融解、森林消失の記録更新が予想される。
近年、気象学の分野では爆弾低気圧、大気の川、湿球温度、超暴風雨、大規模森林火災、超大規模森林火災といった新しい用語が生まれており、2026年もまた、暑さ、CO2レべル、氷河融解、森林消失の記録更新が予想される。その一方で、エネルギー公益事業者と気候変動活動家の両者に喜ばれるであろうものの実現に大きく近づく年にもなるだろう。それは、石炭火力やガス火力に対するコスト競争力があり、既存の送電網につなげることができる、急速に拡張可能なカーボンフリー発電所だ。
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この発電所は星を輝かせる原理、つまり核融合で稼働する。核融合は炭素燃料の2,000万〜1億倍もエネルギー集約度が高く、核分裂の4倍のエネルギーをもつが、放射能を発生させない。気候科学を故意に無視する企業のCEOたちに、行き詰まった化石燃料を放棄するよう促すことができる説得材料は、採掘が不要になったことで手にする節約効果だろう。なぜなら核融合の燃料は、実質的に無限でリサイクル可能な海水なのだから。地球上で核融合を再現するため、のちにノーベル平和賞受賞者となるアンドレイ・サハロフは1950年に、磁石に囲まれたドーナツ型の「トカマク」という装置を設計した。この装置に水素を充填し、プラズマになるまで加熱する。プラズマは磁石によって安定的に保持されるが、1億℃まで温度を上げる必要がある。それでも75年までに、世界で数十台のトカマクが建造された。マサチューセッツ工科大学(MIT)のトカマクは、プラズマ圧力の世界記録を樹立したが、ほかのトカマクと同様に、核融合の達成に必要なエネルギーが、そこから得られるエネルギーよりも多かった。
アラン・ワイズマン|ALAN WEISMAN
ジャーナリスト。非営利のジャーナリスト組織Homelands Productionsシニアプロデューサー。著書に『人類が消えた世界』『滅亡へのカウントダウン』『奇跡のエコ集落ガビオタス』『Hope Dies Last』など。(Originally published in the January/February 2026 issue of WIRED UK magazine, edited by Nobuko Igari)